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造血幹細胞移植医療体制整備事業
拠点病院リーダー 北村 紗希子
琉球大学大学院医学研究科 内分泌代謝・血液・膠原病内科学講座 (第二内科) 特命助教
厚生労働省は地域差のない質の高い移植医療の提供を目的とした造血幹細胞移植医療体制整備事業を展開しています。琉球大学病院は全国12ブロック拠点病院のひとつ、沖縄ブロックの拠点病院に選定されています。
造血幹細胞移植は難治性の血液がんや造血不全の治癒を目指すための切り札的治療法です。移植医療の目覚ましい進歩により、不治の病であった急性白血病をはじめ血液悪性疾患の長期生存が充分に期待できる素晴らしい時代を迎えました。一方、移植後の合併症治療では高度な専門性が求められ、医療スタッフには「移植後の患者さんは病態が複雑で診療が難しい」というイメージが根強く残っています。また、沖縄県で造血幹細胞移植を実施している病院は琉球大学病院を含め僅か2病院であるため、移植後も数年にわたり本島北部地域や離島からの通院が必要となる場合が少なくありません。
造血幹細胞移植を受けた患者さんが快癒して安心して暮らせる医療環境を作ることは極めて重要であり、移植医療を担う人材育成が重要な課題です。本事業では造血細胞移植専門医、造血細胞移植コーディネーター(HCTC)、長期フォローアップ外来(LTFU)担当看護師の人材育成に取り組み、沖縄県の造血細胞移植成績の向上と移植後の生活の質の向上を目指します。
造血幹細胞移植医療体制整備事業
小児科責任者浜田 聡
琉球大学病院 小児科 講師/診療教授
造血細胞移植は、難治性血液腫瘍や造血不全症に対して行われる根治療法です。小児造血細胞移植の対象疾患は多様であり、一部の難治性固形腫瘍に対して、免疫細胞療法として大量化学療法に引き続き、同種造血細胞移植を行い、効果が期待できます。さらに成人移植にはない特徴として、先天性免疫不全症や先天性代謝疾患も対象となります。移植法の進歩により、成績は向上し、多くの子供たちを救命することができましたが、小児期に造血細胞移植を受けた子供たちは様々な移植関連合併症を引き起こし、大きな課題となっています。成人とは違い、小児は発達・発育途上にある未完成な個体であり、とくに乳幼児期に移植を受けた場合は、その影響は甚大です。移植関連合併症は多岐にわたり(慢性移植片対宿主病、内分泌障害、成長障害、妊孕能低下、学習障害、2次がんなど)、関連分野の専門医に加えて、看護師、心理士、ソーシャルワーカーなど他職種が参加する長期フォローアップチームを組織し、包括的に取り組む必要があります。小児がんを克服した方(サバイバー)は、原病が治癒したあと、進学、就職、結婚など人生の節目を経験し、次世代を担う社会人として長い人生を歩んでいきます。そこで成人診療科との連携を通して、スムーズに移行期医療を進めていくことも含めて、長期フォローアップ体制を充実させていくことは、長期生存者を生涯支えるための重要な基盤となります。
これからも、小児移植に精通した他職種の方々の人材育成に取り組んでいき、多くの移植を経験した子供たちを支える力となっていけるように努めてまいります。今後とも皆様のご支援とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。